6年生を受けもった時、クラスのリーダー的な存在だったA君。
成績は中の上ぐらいでしたが、レベルの高い私立中学を受験するために、塾に入って帰宅後や休日も一生懸命勉強していました。
そのせいか、いつも少しだるそうで、受験勉強のストレスからか、授業中でも、大きな声で言いたいことを言ったり、担任である私や友達に対して、平気で嫌なことを言ったりすることがありました。
正直、苦手なタイプでした。
A君は負けず嫌いで、勝負で負けると、機嫌が悪くなったり、相手のせいにしてしまったり、あからさまに手を抜いたりすることがありました。
ある日、体育で、サッカーをしていました。すると、途中で、そんなに調子が悪そうに見えないのに、「頭が痛いから、見学する。」と言い出しました。
私は、「負けているから、やりたくなくなったんだな。」と、いつものA君の言動から、思い込んでしまいました。
そして、「ほんとに頭痛いの?」と、つい、言ってしまいました。

そして、そのまま、校庭の隅で、見学させました。
下校後、母親から学校に電話がありました。
「息子が帰宅後、『頭が痛い』と言っています。学校でも頭が痛かったそうですね。でも、先生は、『大丈夫?』とも言わず、『ほんとに頭痛いの?』と疑ったそうですね。そして、保健室にも行かせてくれなかったんですよね!子どもが、悲しんでいます!」
私は、「申し訳ありませんでした。」と謝りました。
しかし、母親の怒りは収まらず、「もう先生にうちの子は任せられません。明日から学校を休ませます。」と言われてしまいました。
その日のうちに、A君の家に謝罪に行きました
呼び鈴を押しましたが、「先生とお話することはありません。」と、拒否されてしまいました。
翌日、A君は欠席しましたが、翌々日には登校し、ほっとしました。
私は、A君に、「疑ってごめんね。もう大丈夫。」と話しました。
私のように、先入観から、「うそを言っているだろう。」とか、「どうせさぼりたいからだろう。」と、決めつけてしまってはいけません。

それからは、「調子が悪い。」と言ってきた子には、「大丈夫?」と声を掛け、体温計で熱を測ったり、額に手を当てて「熱がないから大丈夫だよ。」と言ってあげたりしています。必要に応じて、保健室で休ませてもらったりもします。
どの子も、教師や周りの人から、「かまってもらいたい」「大事にしてほしい」「心配してほしい」と感じています。
保護者も自分の子どものことを信頼し、心配してくれるような教師を望んでいます。
現役教員の方や、これから教師になろうと思っている人は、私のダメ教師エピソードを参考にして、そうならないように、気をつけてくださいね。